RHEL9がリリースされました
つい先日、RHEL(Redhat Enterprise Linux)のバージョン9がリリースされました。
少し前には、CentOSがRHELクローンのリリースをしない方針を発表してLinux界隈がざわつきました。その結果としてAlmaLinux、RockyLinuxなどが昨年にリリースされました。
そんななかでもRHEL8は順調にマイナーバージョンアップを繰り返して、ついにRHEL9がリリースされました。すでに昨年末くらいからBeta版の提供はあったのですでにご存知の方もいらしゃるかもしれませんが、私はまったくその辺調べていなかったのでせっかくなのでちょっとネットを調べてみました。
RHEL9とRHEL8の違い
パッケージは新しくなっている
RHEL9の特徴はなんと行っても基となっているFedoraが34相当になっています。
2022年5月現在のFedoraが36ですね。なんと新しくなっていることでしょう。
RHEL8はFedora28、RHEL7に至っては19ですから、RHELも進化していますね。
distrowatchのパッケージリストを見ても結構新しいものが入っています。
目新しいところとしては以下ですかね。
パッケージ | RHEL9 | RHEL8(8.6) |
Linuxカーネル | 5.14 | 4.18 |
Gnome | 40 | 3.32.2 |
bash | 5.1.8 | 4.4 |
OepnSSL | 3.0.1 | 1.1.1k |
systemd | 250 | 239 |
GCC | 11.2.1 | 8.5.0 |
Linuxカーネルがついに、5系になりました。RHEL8のときはまだ4系を使っていたので、新しくなりましたね。カーネル4系でも安定していて良いのですが、Ubuntuなどは随分前から5系だったことを考えると、RHELが枯れたイメージは払拭しているのではないかと思います。
なんとGnomeも40になっています!とはいえRHELでGnomeって?とサーバ系メインの私はOracle入れる時くらいしかGUIは使わずにせっせとSSHでCUI設定しているので恩恵はないですが、ワークステーション的に使っている方にとっては結構違うのではないでしょうか。
その他色々かわっている
その他の違いとしては、以下のようです。
SELinux | SELinuxの仕様が変更され、無効化する場合の常套手段だった「/etc/selinux/config」にdisableを設定するとエラーになるようです。 または、SELinuxは有効化するものの何も制御しないように設定する必要があります。 それでも無効したい場合はSElinuxで制御するというよりOSからSELinuxをそもそも起動しないことで対応する必要がありそうです。(grubのカーネルパラメータ指定にselinux=0で対応) |
OpenSSH | 標準設定では、パスワードを使用したrootアカウントへのログインがNGになったようです。 これも回避策はありますね。とはいえ、業務利用ならrootのログインは抑止しますよね。。 |
network-scripts | network-scripts が廃止され、NetworkManagerが後継になったようです。 /etc/sysconfig/network–scripts/if-eth0とかもうなくなってしまいますが、NetworkManagerは便利なので作法が変わるくらいでしょうか。 |
TPM1.2 | セキュリティ機能のTPMがなくなるようです。 個人的にはTPMが必要なケースにあったことがないので影響は局所的でしょうか。 |
exFAT | exFATがサポートされるようになりました。 |
SHA-1 | SHA-1が非推奨となるようです。 SHA-1は枯れているのでそろそろ次にアップデートしましょうということですね。 |
開発環境が新しくなっている
各プログラムの実行環境が新しくなっていますね。PHPとかやっと7系から開放されました。
RHEL8のときは、個別にPHP8を入れないとだったので助かりますね。
Pythonも最新の3.10とは行かずとも3.9なら十分新しいのではないでしょうか。
Nodeは現在のLTSになったのですが、足が早いのであっという間に古くなってしまいそうですね。。
- PHP 8.0
- Node.JS 16
- Perl 5.32
- Python 3.9
- Ruby 3.0
サポート期間はどうなのか
RHELのサポートは長いです。特に有償の延長サポートを契約すると最大で10年以上サポートを受けることができます。すでにRHEL7はフルサポートは終わっていますが、まだまだメンテナンスサポート中となるので、最大2026年まで、日本の場合はサポートベンダーの個別延長サポート含めるともう少し長くなると思います。
Version | General availability | Full support ends | Maintenance Support 1 ends | Maintenance Support or Maintenance Support 2 ends | Extended life cycle support (ELS) add-on ends | Extended life phase ends | Last minor release |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9 | 2022年5月18日 | 2027年5月31日 | Not Applicable | 2032年5月31日 | 2034年5月31日 | Ongoing | 9.10 |
8 | 2019年5月7日 | 2024年5月31日 | Not Applicable | 2029年5月31日 | 2031年5月31日 | Ongoing | 8.10 |
7 | 2014年6月10日 | 2019年8月6日 | 2020年8月6日 | 2024年6月30日 | 2026年6月30日 | Ongoing | 7.9 |
おわりに
RHEL9のリリースは、私を始めとしたSI業界でニュースですね。
とはいえ、SI界隈ではいまだRHEL7は当たり前、RHEL6やら化石のようなRHEL5までまだまだ稼働しているシステムもあるのも実態です。仮想化が当たり前になったので、ハードウェアサポート切れから開放され、カーネルが古くてもVMWareさんが優しくなんとかしてしまうので、いつまでも塩漬けになってしまうシステムがあるのも事実です。
RHEL9は黙っていても仕事で使うので後で無償版入れてみて、上に書いた調べた違いがどうなのか実機で確認してみようと思います。それでは良い週末を!
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